中世
およそ500〜1400年祈りの歌から、音を書き記し、声を重ねる音楽へ。
教会で歌われた聖歌を伝えるために記譜法が発達しました。11世紀には音の高さを示す線を使った表記が整えられ、12〜13世紀のパリではノートルダム楽派が複数の声を組み合わせる作品を発展させました。
聖歌や楽譜の発展から、オペラ、ピアノ、そして現代の多彩な音楽まで。作曲家だけでなく、音楽の表現や聴かれ方がどう変わったのかを、史料とともにたどります。
時代区分の年号はおおよその目安です。様式は重なり合い、地域によって変化の時期も異なります。ここでは西洋音楽史を中心に紹介し、日本を含む各地域の音楽史と単純に同一視しません。
祈りの歌から、音を書き記し、声を重ねる音楽へ。
教会で歌われた聖歌を伝えるために記譜法が発達しました。11世紀には音の高さを示す線を使った表記が整えられ、12〜13世紀のパリではノートルダム楽派が複数の声を組み合わせる作品を発展させました。
独立した旋律が織り重なり、楽譜が広く届けられる時代。
ミサ曲やモテットなどで声部を巧みに組み合わせる書法が発達。ジョスカン・デ・プレやパレストリーナらの作品が知られています。1501年にはペトルッチが活版による多声音楽の曲集《オデカトン》を出版しました。
オペラ・通奏低音・協奏曲が育ち、劇的な表現が広がる。
1600年前後のイタリアで歌と劇を結びつけるオペラが発展。モンテヴェルディの《オルフェオ》(1607年)はその重要な作品です。通奏低音、オラトリオ、協奏曲、フーガなど、多彩な音楽が育ちました。
交響曲・ソナタ・弦楽四重奏が成熟する時代。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンらが活躍。作品を複数の楽章で構成し、主題を発展させる書法が洗練されました。宮廷だけでなく公開演奏会の文化も重要になっていきます。
ピアノの表現、個人の感情、物語性がいっそう豊かに。
ショパンやリストのピアノ音楽、ブラームスの室内楽、ワーグナーの舞台作品など、表現は多様になりました。楽器の改良、演奏会の拡大、各地の舞曲や民族的な主題との関係にも注目できます。
音の組織も、演奏する場所も、多様化していく。
従来の調性から距離を取る試み、新しいリズムや音色、電子音楽など、幅広い表現が生まれました。ドビュッシーの色彩的な響きやストラヴィンスキーのリズムも、その変化を考える入口になります。
音楽史の流れを理解するうえで重要な出来事を、資料とともに紹介します。
グイード・ダレッツォは音の高さを読み取れる線のある記譜法の発展に大きく貢献しました。ただし、記譜法や譜線を彼一人がゼロから発明したわけではありません。
参考資料:バーゼル大学 — 譜線の歴史 ↗レオナンやペロタンらは、聖歌を土台に複数の旋律を組み合わせた作品を発展させました。「音楽がこの時代に初めて重なった」という意味ではありません。
参考資料:ノートルダム大聖堂 — 多声音楽とモテット ↗活版で印刷された多声音楽の重要な曲集です。印刷技術が作品の伝播を変えました。ただし、これを「史上初の印刷楽譜」とするのは不正確です。
参考資料:米国議会図書館 — ペトルッチの曲集 ↗フィレンツェで古代劇を探求する動きから新しい音楽劇が育ち、モンテヴェルディの《オルフェオ》(1607年)などに結実しました。特定の一作のみを「最初のオペラ」と断定しません。
参考資料:メトロポリタン美術館 — オペラの歴史 ↗