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CLASSICAL MUSIC · THE WORKS

名曲の誕生から、音楽史を学ぶ

「いつ作曲された?」「初演はいつ?」「どんな楽器で演奏する?」——名曲を手がかりに、時代と作曲家のつながりを探ります。

作曲年・出版年・初演日は、それぞれ異なる出来事です。正確な日付を確認できない作品に、架空の記念日や初演日を付けていません。

01
バロック・J.S.バッハ

《平均律クラヴィーア曲集》第1巻

1722年:第1巻の自筆資料

いつ、どのように生まれた?

1722年と記された自筆の表題紙がベルリン国立図書館に伝わります。第1巻には、24の長調・短調それぞれに前奏曲とフーガが1組ずつ収められています。

どんな音楽?

バッハは、さまざまな調で音楽を作り演奏する可能性を示しました。前奏曲の自由な表現と、フーガの複数の声部が重なる動きを通して、バロック時代の鍵盤書法に触れられます。

編成・楽器:当時の「クラヴィーア」は広く鍵盤楽器を指し、現代のグランドピアノ専用作品として成立したわけではありません。

聴いてみたいポイント

まず前奏曲で和声の動きに耳を向け、続くフーガでは同じ主題が違う声部に現れる様子を追うと構造が見えます。

作品名の「平均律」を、現在の12平均律という特定の調律方法をバッハが指定した証拠と混同しないようにします。

参考資料:ベルリン国立図書館 — 自筆表題紙と《平均律クラヴィーア曲集》 ↗

02
古典派・モーツァルト

《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》K.525

1787年8月10日:自作目録に記録

いつ、どのように生まれた?

モーツァルト自身の作品目録に1787年8月10日付で記されています。現在の演奏で知られる楽章に加え、原曲にはもう一つのメヌエットがありましたが、その楽章は失われました。

どんな音楽?

「小さな夜の音楽」という題は、夜の催しと関わる当時の音楽文化を伝えます。ただし、誰のために作曲されたのかは分かっていません。親しみやすい旋律の裏に、古典派らしいフレーズの均衡や対比があります。

編成・楽器:弦楽器のための作品で、弦楽四重奏・五重奏に近い編成や弦楽合奏で演奏されます。

聴いてみたいポイント

冒頭の力強い主題と、その後に現れるなめらかな旋律を聴き比べると、同じ楽章の中で性格が切り替わることに気付けます。

現存の楽章だけを見て「最初から4楽章の完成作」と断定しないことが重要です。

参考資料:モーツァルテウム財団 — Köchel作品目録 KV 525 ↗

03
古典派・ベートーヴェン

《交響曲第9番》ニ短調 Op.125

1824年5月7日:ウィーンで初演

いつ、どのように生まれた?

ベートーヴェン・ハウスの資料によると、1824年5月7日にウィーンのケルントナートーア劇場で初演されました。作品の完成は同年で、ロンドンでの初演は1825年です。

どんな音楽?

交響曲の終楽章にシラーの詩「歓喜に寄す」を取り入れたことで知られます。声を含む大規模な構想は、古典派の交響曲から後世の交響曲表現へつながる重要な転換点になりました。

編成・楽器:オーケストラに加え、終楽章で独唱と合唱が登場します。

聴いてみたいポイント

第1楽章の緊張感、スケルツォのリズム、緩徐楽章の歌うような旋律を経て、終楽章の声楽に至る流れを聴き比べます。

1824年のウィーン初演と1825年のロンドン初演を取り違えないこと。また「作曲完成日」を5月7日と混同しません。

参考資料:ベートーヴェン・ハウス — 交響曲第9番の作品解説 ↗

04
ロマン派・ショパン

《24の前奏曲》Op.28

1839年:全24曲の楽譜を出版

いつ、どのように生まれた?

ショパン研究所が所蔵する1839年の初版には、24曲の前奏曲が収録されています。一つ一つが比較的短くても、調性、テンポ、響き、演奏表現は大きく異なります。

どんな音楽?

前奏曲は元来、別の楽曲へ導くための短い曲としても用いられましたが、この作品では個々の前奏曲が自立した表情を備えています。ロマン派のピアノが持つ多彩な音色や和声の表現に注目できます。

編成・楽器:ピアノ独奏。24の長調・短調にそれぞれ1曲ずつ配置されています。

聴いてみたいポイント

第1番ハ長調の流動的な音型と、第4番ホ短調のゆっくり変化する和声を比べると、同じ「前奏曲」という名前でも表現が異なることが分かります。

1839年は初版の出版年です。24曲すべてが1839年の同じ日に作曲されたわけではありません。

参考資料:フリデリク・ショパン研究所 — 《24の前奏曲》Op.28 初版資料 ↗

05
近現代・ドビュッシー

《海》— 管弦楽のための3つの交響的素描

1903〜1905年:作曲/1905年10月15日:初演

いつ、どのように生まれた?

1903年から1905年にかけて作曲され、1905年10月15日にパリでカミーユ・シュヴィヤール指揮、ラムルー管弦楽団によって初演されました。

どんな音楽?

《海》は風景を単純に音で模写するのではなく、波、風、光の移ろいを思わせる色彩豊かな響きを組み合わせます。管弦楽の音色が音楽の構成そのものを担う、20世紀初頭の重要な作品です。

編成・楽器:木管・金管・打楽器・ハープ・弦楽器などを用いる管弦楽作品です。

聴いてみたいポイント

各楽器が交代しながら浮かび上がる短い音型、ハープや木管が作る透明な響き、全合奏のうねりの差に耳を向けてみましょう。

「印象派」という呼称だけでは、作品の複雑な形式や作曲技法を十分に説明できません。

参考資料:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 — 《海》作品解説 ↗